Oh my 人生 (Oh my life)

小森悠矢の生活と人生ともろもろ。Life, daily experience and everything of Yuya Komori.

若手社会人に送られた『プラダを着た悪魔』

映画は好きなんですけど、あまり見ないんです。

見るとその世界に没入してしまうので。

 

今日の日本からホーチミン行きの中華航空ではタブレットも禁止されていて、

それで仕方なく選んだのが『プラダを着た悪魔』。案の定どハマりして、3回も見ちゃいました。

うーん、いろいろ考えさせられたのでブログでアウトプット。

 

 

一見すると主題は、

 

  プラダなどのファッションブランドに象徴される虚構の価値vs本質的な価値

 

に思えるけど、きっとそうじゃないんです。

他ならない主人公のアンドレアが仕事を通して成長する物語で、虚構とか本質とかはアンドレアの心の中の話なんです。

 

いろんな軸で見ていきましょう。

セリフは基本うる覚えです。

 

【社会人としての仕事レベル】

 

大卒甘ちゃんのアンドレアがミランダのもとで成長するプロセスを振り返って見ましょう。

自分の社会人生活が重なって結構感慨深いです。

 

●レベマ1ーー頑張ってるつもりの愚痴ガール

 

 言われたことをやろうとして出来なきゃ人のせい。

 そのくせ評価されないことを愚痴る完全な甘ちゃんです。

 こんな部下は何時だって交換可能なので、

 仕事は誰でもできるコーヒー買い出し、コート&バッグの片付け、商品の受け取りだけ。

 上司ミランダにも名前で呼んでもらえません。

 

 アンドレアは飛行機予約の失敗という壁にぶち当たり、仕事を投げ出しそうになりますが

 ハゲおじさん(名前忘れちゃいました、結構大事な人だけど)の喝で心を入れ替えます。

 

 

●レベル2ーー仕事をリスペクトする指示待ち人間

 

 アンドレアの仕事への態度は服装に表れます。

 ブランド者を着こなしてクールに決めているのは、かっこつけではなく彼女の覚悟なんです。

 言われた仕事をこなせるようになると、

 とうとう上司ミランダからも一人の部下として認めてもらえます。

 仕事も広がりスケジュール調整まで任され、

 やっと名前を読んでもらい、家に本を届けるという任務をもらうのです。

 家、鍵というのは内側の比喩ですよね。

 

 が、その本の受け渡しで失敗。2つめの壁です。

 

●レベル3ーー工夫して結果を出す仕事人

 

 アンドレアは、出版前のハリーポッターの入手というミランダの無茶ぶりをなんとか達成します。

 そして、パーティー主席者の名前を暗記して、ミランダに伝えるミッションもクリア。

 結果を出す点がミランダに評価され、第一秘書に指名されます。

 

 ちなみに先輩のメアリーはレベル2です。体型を気にするなどの仕事へのリスペクトはあるけど、

 大事な時に体調崩すし、パーティー出席者をど忘れするので。結局成果を出せていないのです。

 体調を崩した時の彼女の言葉「I love work, I love work.」が彼女のレベルがそこ止まりだと示しています。

 

 ハゲおじさんはレベル3。彼はミランダからも、彼だけがしっかり結果を出すと評価されています。

 

 さて、アンドレアにとっての次の壁は、そう、メアリーに降格を通告することです。

 人の上に立つってそういうことなんです。

 

●レベル4ーー人の上に立ち、自分でミッションを設定し動ける人

 

 パリでアンドレアは、左遷の危機にあるミランダを救うため奔走します。

 これはミランダの指示とは無関係の、完全にアンドレアの主体的な動きです。

 実際的にはミランダは自分で危機をマネージしますが、アンドレアの行動はミランダの心をうち、

 感激したといわしめます。

 ミランダ風には、誰かの要求を超えて自分のために動ける人、です。自分と似ているとも。

 私風に言い換えると、自分でミッションを設定できる人。

 でもこれ、プラマイ両義的なんですよね。

 

 プラス面から言うと、仕事のクオリティーを自分で上げられる人。まさにミランダの仕事そのもの。

 マイナス面から言うと、人を蹴落として自分が上に上がれる人。

 

 もちろんミランダはこのレベル。

 アンドレアはここに足を踏み入れるのですが、人を蹴落とすことに疑問を抱いて

 この直線状のレベルの枠から飛び出し、最後には自分の道を歩み始めます。

 

 

ともあれ、すごいですねアンドレア。これも徹底して成果を求めた上司ミランダのおかげ。

私はレベル上げに何年かかったことか、、、そもそも今レベルいくつだ?(^_^;)

 

 

【仕事レベルとプライベート】

 

ハゲおじさんの言葉「私生活が崩壊すると昇進するよ」の通り、

登場人物の仕事レベルとプライベートは反比例しています。

 

具体的に言うとレベル2から私生活のほころびが始まり、レベル3からレベル4になる時に崩壊します。

アンドレアは彼氏ナイトと別れたし、ミランダも離婚を言い渡されました。

最終的にアンドレアが彼と復縁したということはやはり彼女がレベルの階段から降りたということですね。

 

ちなみにレベル2から3に上がりたいメアリーはどうなんでしょう。

私の読みでは、ほころびかけているですね。

土日に予定があるかとアンドレアから聞かれたメアリーは怒ったように「イエス」とだけ答えました。

メアリーがプライベートにあまり重きを置いていないのがわかりますね。

 

【やさしいという言葉】

 

この言葉、実はかなり重要なキーワードです。

映画の前半にアンドレアに対して2人の男性からの評価として使われた言葉です。

 

●アンドレアの憧れの凄腕ライターのトムから

 「君にはミランダもとでは無理だよ。優しすぎるから」

 優しいアンドレアには、人を蹴落としたり、手段を選ばず成果追求するような冷徹人間にはなれない

 という意味でしょう。

 

●彼氏のナイトから

 「君にはミランダの仕事をやめないだろうね。優しすぎるから」

 ミランダに思うところがあっても仕事が来たら拒否できないアンドレアの意志の弱さを指摘しています。

 

この2つは全く逆のことを言っているようで、実は同じ事を言っているのです。

それはアンドレアの主体性のなさです。これを「やさしい」と言われているのです。

 

そして、物語を通してアンドレアは「やさしい」を脱し、自分の意志で生きていく強さを獲得します。

この強さは、ミランダの指示を越え動いた時、ミランダのもとを離れた時に。

トム、ナイト両者の評価を跳ね返したわけです。

 

このアンドレアの内面の成長が、この映画の真のテーマなのです。

 

 

【アンドレアにとってのプラダ

 

プラダとは、ファッション業界の象徴で、その意味は外見は派手だけど中身は薄い、という意味です。

アマンダはファッション業界に足を踏み入れましたが、本質的な価値を求めそこを飛び出します。

 

でも、プラダはそれだけじゃないんです。

 

アンドレアの最初の就職希望先は雑誌ニューヨーカーやバーニーテーペアです。

なんだかわかりませんがきっと言論雑誌の花形です。

結局はアンドレアが嫌っていたミランダのファッション誌ランウェイと同じ立場です。彼女もブランドを求めていたのです。

しかし、最終的な転職先は、こじんまりとしたニューヨークミラー誌。華やかではないですが等身大のアンドレアを評価してくれる場所で、彼女もとても満足します。

 

そして、もうひとつのプラダ。それは憧れのフリーライターであるトムです。

ブランドの結晶であるパリコレをアンドレアが見直したと言った直後にトムとキスしたのはそういうわけです。

この夜、アンドレアの振り子は究極にブランド側に振れたわけです。

そして、トムのもとをさりナイトのもとへ戻るのは、ブランドから本質に戻ったということ。

 

いや、戻ったというのは正確ではありません。

ファッション業界に入る前から、実はブランド志向だった彼女は、とうとう本質的価値に気づいたというのが正しいでしょう。

 

トムと寝たのは彼女がビッチとかそういう話でなくて、心情描写ですからお間違えなく。

 

ミランダの笑顔】

 

映画の最後はミランダの笑顔で終わります。

ミランダの笑顔には予め伏線が張ってありました。ファッションチェックをするときにミランダは出来栄えを表情で表現する。頷けば良い、2回頷けばすごく良い、そして笑顔は過去に一度だけ、と。

 

本質的価値に気づき、主体的に行動するようになったアンドレアを見て、ミランダは微笑んだのです。

 

だから何なのか?

ミランダにとっての最上級の美とは、ブランドの上っ面ではなく、アンドレアが獲得したような内なる美だったのです。

 

ミランダは、プラダ、つまり上っ面のファッションブランドを象徴であると思われていましたが、違ったんです。過去にミランダが微笑んだファッションチェックもきっと本質的な美があったのだと思います。

ファッションと本質は対立しないってことです。なんと!

 

【まとめ】

というわけで、冒頭にも書きましたが、主題は

 プラダなどのファッションブランドに象徴される虚構の価値vs本質的な価値

ではありません。

 

ファッションも言論雑誌も虚構、本質の両面を持っていますから。

どちらの面が見えるかは、見る側の心の態度なわけです。

 

アンドレアの内面を追っていくことで、若者の成長過程が見えるそんなお話だったのです。

心の中のプラダ、、、映画が投げかける問は大きいですね。

 

ああ、もう一度見たくなってきました(笑)